日本国憲法は、「憲法とは」でもまとめた通り、終戦後の1946年に公布され、1947年に発効して以来、70年もの間、一度も改憲されていない現行憲法です。
「憲法とは」の中の「アメリカからの押し付け憲法って本当?」でもまとめている通り、「アメリカが押し付けてきた憲法だから書き換えよう」という意見に対する議論はここではしません。
押し付け憲法かどうかは見る角度によって、語り手の捉え方によっても変わってくると考えているからです。
本質的に「なぜ今この改憲議論が必要なのか」を今回のテーマにしたいと思います。
憲法改正論も出ているけど、そもそも憲法ってなんなの?アメリカからの押し付け憲法なの?GHQが関与してるって本当?改憲議論が活発になっている今、まずは「憲法」が何なのかを中学生でもわかるように解説しています。背景を理解したうえで、改憲議論へと進んでいきましょう!
◆サクッと読むための目次
改憲の争点は憲法9条
憲法9条では、「戦争の放棄」とそのための「戦力の不保持」を謳っています。
- 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
- 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。
改憲のメリット
- 現状と憲法上の矛盾を解消する
- 自衛隊の負担を減らせる
- 海外での邦人救出ができるようになる
メリット①:現状と憲法上の矛盾を解消する
先述の通り、9条では、「戦争の放棄」と「戦力の不保持」を謳っています。
しかし日本には自衛隊が存在します。
戦争はしないと言いながらも、他国に攻め込まれたら「自衛戦争」は行なえます。
つまり、憲法の理念と矛盾が生まれているのです。
この矛盾を解消することは必須と言えるのではないでしょうか。
さらには、現行憲法は人によって解釈が異なる部分が多いのです。
有識者会議などで何度も議論されているのはこのせいです。
でもこれって怖いですよね?
解釈次第でYESともNOとも取れる_そんなことってあります??
誰が解釈するかによって、国の運命も180度変わりかねないのは恐ろしいことです。
これらの矛盾を解消すべく、自衛軍なり国防軍なりの役割を憲法に明記することは大切と言えるでしょう。
そうですよね。補足として自衛隊ができるまでの流れをまとめておきます。
自衛隊が設立するまで
自衛隊は、1954年7月1日に設立されました。
1947年に発効となった憲法9条で戦力の不保持を謳っているのに、なぜそのたった7年後に設立となったのでしょうか?
それは、1950年の朝鮮戦争がキーです。
突如、北朝鮮軍が韓国に侵攻し、日本占領中のアメリカ軍が朝鮮半島に出動することとなります。その結果、日本の警備力&防衛力強化が急務となったのです。
そこで、GHQは警察予備隊の設立と海上保安庁の増員を指示します。
警察予備隊の目的は、
わが国の平和と秩序を維持し、公共の福祉を保障するのに必要な限度内で、国家地方警察及び自治体警察の警察力を補う
とされ、7.5万人の警察予備隊が結成され、これが後の自衛隊へとなっていくのです。

実は、この年の元旦、年頭の辞でマッカーサーが自衛権を承認していたんです。
この憲法の規定はたとえどのような理屈をならべようとも、相手側から仕掛けてきた攻撃にたいする自己防衛の冒しがたい権利を全然否定したものとは絶対に解釈できない
その後1952年4月には、海上保安庁から海上警備隊が独立します。
同年8月、保安庁が新設され、海上警備隊は警備隊と改組します。
10月には、警察予備隊は保安隊に改組され、保安庁所属となります。
保安隊の目的は、
わが国の平和と秩序を維持し、人命、財産を保護するため特別の必要がある場合に行動する
としていて、当時の政府は「保安隊は弱体だから軍隊には値しない。だから9条にも矛盾しない。」という見解も出しています。
さらには、韓国が竹島を不法占拠したことも相まって、世論も国土防衛の意識が高まっていたというのもあります。
そして1954年には日米相互防衛援助協定が結ばれ、自衛隊法の成立となるのです。
自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、直接侵略及び間接侵略に対しわが国を防衛することを主たる任務とし、必要に応じ、公共の秩序の維持に当るものとする(自衛隊法第3条)
政府見解も「自衛のための必要最低限の自衛力は、戦力にあたらない」と変わります。
こうして、自衛隊は憲法との矛盾を抱えたまま今日に至るのです。
メリット②:自衛隊の負担を減らせる
2つ目に、自衛隊の任務の中に、海外での平和維持活動 (PKO) があります。
これまでもカンボジア、南スーダンやイラクなどで活動しています。
「平和維持活動」とは言え、各地では銃撃戦が発生し、死傷者も出ていますね。
そんな危険な場所へ赴くのですから、自衛隊員も自らの身を守るための武器保持が必要です。
ですが、現状では憲法によって「武力行使は禁止」されています。
武器使用は正当防衛と緊急避難に限られているため、拳銃や小銃のみの携帯が許されているのです。
よって、日本の自衛隊ができることは道路補修などの人道支援や後方支援です。
治安維持などは他国軍に任せるしかないのです。
さらには、「駆けつけ警護」すら制限されていて行えません。
海外でPKOの活動に参加している間に、邦人や国連職員らがテロリストに襲われる可能性もありますよね。
それを武器を使って助けることは海外での武力行使に当たるのでできないのです。
いくら日本が平和主義を謳っているとは言え、海外で武装集団に襲われた日本人を救出できず、見殺しにするのはおかしくないでしょうか?
邦人や国連職員だけでなく他国軍を救出することもできません。
当然、他国からしてみれば「なんで?」ともなってきます。
憲法が故に、現場の自衛隊員にすべてのしわ寄せが来てしまっているのです。
このような状況を改善し、自衛隊が安心して任務遂行できるように整備していくことも改正のメリットと言えます。
メリット③:海外での邦人救出ができるようになる
3つ目の理由がこちらです。
現状の邦人救出条件をご存知でしょうか?
まず第一に「当該外国の同意が必要」であり、次に「領域国政府の権力が、維持されている範囲に限定」とされています。
こんな条件下で邦人救出などできるのでしょうか?
拉致被害者を例に取ってみましょう。
北朝鮮が「救出、どうぞどうぞ」と言うでしょうか?
このままで本当に拉致被害者を全員奪還できるといえるのか。答えはノーだと思います。
次に、テロ組織に支配されている地域での救出活動。
これも自衛隊は指をくわえて見ているしかないのです。
この点の解消も、改憲のメリットと言えます。
改憲の懸念点
次は反対派が上げる懸念点を見ていきたいと思います。
- 戦争ができる国になる?!
- 他国の戦争に参加させられる?!
- 徴兵制の復活?
懸念①:戦争ができる国になる?!
9条改憲の話題が出るたびに真っ先に上がる反対派の意見ですね。
でも本当にそうでしょうか?順を追って見ていきましょう。
まず、国連憲章では、個別的自衛権も集団的自衛権も認めています。
日本でも個別的自衛権は認めていますが、集団的自衛権の行使には憲法との矛盾が生じるため、可決されたとはいえ、行使できずにいます。
そのため、9条を改正したら、侵略戦争などができる国なってしまう!という反対意見が出てくるんですね。
ただ、この点は憲法に盛り込むことで解消できる部分だと思います。
- 集団的自衛権の行使の範囲について
- 侵略戦争は行わないこと など
少なくとも「自衛」の定義をしっかりと明文化しておくことが大切かと思います。
他国の戦争に参加させられる?!
これまでの日本は憲法9条を盾に「ごめん、助けたいのは山々だけど憲法あるから無理!」と参加を拒むことができました。
なんならマッカーサー案から来てますから、アメリカも何も言えないですよね。(;´∀`)
よって、9条改正に伴って、お助けマンのごとく、アメリカが関わる戦争に参加させられる可能性が出てきます。
戦争参加することで敵国から目の敵にされれば、日本がテロの対象となることだって考えられるわけです。
ですが、これも憲法に盛り込むことで大丈夫ではないでしょうか。
- 自衛軍または国防軍の派遣は平和維持活動に限ること
- 国連の要請があり、国会で事前承認された場合のみなどの例外措置
徴兵制の復活?
個人的見解ですが、これは反対派が国民の不安を煽るための口実にすぎないと思っています。
反対派意見のロジックは、「憲法改正によって戦争が増え、入隊希望者が減る⇒軍を維持できなくなり、徴兵する」でしょう。
本当ですか?
ちょっとそのロジックを疑いますね。。
まず、第一に憲法で「職業選択の自由」を謳っていること、第二に、徴兵制を提案する政党が国民の支持を得られるのか?ということです。
まとめ|なぜ「今」改憲が必要なのか
さて、ここまで改憲のメリットと懸念点をひと通りまとめました。
加えて、ここ数年の隣国の状況をもう一度考え直してみて欲しいです。
本当に日本はすでに安全で自国と自国民を守れる国になっているでしょうか?
北朝鮮の核ミサイル開発に拉致被害問題。
韓国との竹島問題に慰安婦問題、さらにはレーダー照射問題などの反日運動。
中国との尖閣諸島問題。
ロシアとの北方領土問題などなど。
自国領土を守ることすらまともにできず、邦人救出もできていない。
この状況でも憲法改正は必要ないと言えるのでしょうか?
憲法9条があったから、日本は平和だった。
平和憲法があったから、日本に戦争はなかった。
本当にそうでしょうか?
「日本には憲法があるから、戦争仕掛けるのはやめよう!」
なんていう国があるんでしょうか?
憲法9条を1番支持しているのは、こういった日本以外の国々なんです。
世界の情勢は毎日目まぐるしく変わり続けます。
変わり続けるものに対抗すべきルールが不変のものでは太刀打ちできないのです。
毎度毎度改憲しろということではなく、時期が来ればしっかりと見直すべきなんです。
これを政党任せにしてはいけません。政党同士のやり合いにしてはいけないんです。
どうしても自分が直接的に関与していないと、「自分事」として捉えることは難しいですが、やはり日本国民として、きちんと内容を理解したうえで、改憲すべきかそうでないのか、すべきならば、どういった形が理想なのかの意見を持つことが大切だと思います。
さてここまで読んでみて改憲賛成ですか?それとも反対?賛成の方はどの形が良いと思いますか?
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それでは今回はこの辺で!
KEI(@kishikawa1126)でした。

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