原子力発電のメリットとデメリットを3つずつまとめてみた

東日本大震災以降、原子力発電所(以後、原発)の在り方を問う声が定期的にあがりますが、この記事を読む前の「今現在」は原発についてどうお考えですか?
賛成?それとも反対ですか?

実はこの原発、世界で見ると440基を超えているんですが、日本だけでも40基以上もあるんです。

全世界の約10%が日本という小さな島国に集中していることが分かります。
ちなみにアメリカには約100基あります。

事故が起きた際に想定される被害が莫大であるにもかかわらず、これだけの数の原発が存在し、そして今も尚新たな原発が作られていることを見れば、それなりのメリットもあることが分かりますね。

ということで、今回はこの原発について、メリットとデメリットをまとめてみたいと思います。

原発の仕組み

メリットとデメリットに入る前に、まずは原発の仕組みについて確認しましょう。

原子力発電所では火力発電所と同じく、水を沸騰させて蒸気をつくり、蒸気の力で発電機につながるタービンを回して電気をつくります。火力発電所は蒸気をつくるために燃料の石油や石炭、天然ガスをボイラで燃やして水を沸騰させますが、原子力発電所では原子炉内にあるウランの核分裂により発生した熱を利用して水を沸騰させます
日本で使用している商業用の原子炉には、加圧水型炉(PWR※1)と沸騰水型炉(BWR※2)の2種類があり、関西電力では加圧水型炉「PWR」を利用しています。
※1 PWR:Pressurized Water Reactor
※2 BWR:Boiling Water Reactor
PWRとBWRの違い:
PWRは原子炉の中で発生した高温高圧の熱水を利用して蒸気発生器で蒸気を発生させます。BWRは原子炉の中で直接蒸気を発生させます。

加圧水型炉(PWR)原子力発電の概要

沸騰水型炉(BWR)原子力発電の概要

原発の仕組みが分かったところで次はいよいよメリットとデメリットを見ていきましょう。

原発のメリット

1. コストが安い

安定して大量の電力を供給できるので、発電量当たりの単価が安く、経済性が高いという点がまず挙げられます。

また、一度燃料を補充すると約1年は交換の必要がないというコスト/リソースの面でのメリットもあります。

2. 環境汚染リスクが低い

発電時に地球温暖化の原因となる温室効果ガスを排出しないという点は高く評価できますね。さらに、酸性雨や光化学スモッグのような大気汚染の原因となる酸化物も排出しません。

火力発電では、二酸化炭素の排出が最大のデメリットになっていますからね。

3. 周辺エリアの経済効果が高い

日本では、国からの補助金や原発周辺で新たな雇用が生まれるため、周辺エリアの経済が潤うこともメリットの1つと言えます。

デメリット

1. 放射性廃棄物の処理

使用済燃料から再利用できるウランやプルトニウムを回収し、残った廃液を溶かしたガラスと混ぜ合わせ、固めて「ガラス固化体」にします。これを「高レベル放射性廃棄物」といいます。

このガラス固化体は、30~50年間貯蔵し、冷却します。
その後、放射能レベルが十分に低下するまで、人間の生活環境から長期間にわたり隔離するため、地下300m以深の安定した地層中へ処分することとなっています。

つまり燃料をライフサイクルで見ると、50年以上もかかっているんですね。

2. コストが高い

メリットの項目で「コストが安い」と述べましたが、コストには両方の側面があります。

放射性廃棄物の処理からも分かるように、発電以外にもコストはかかっています。

さらに、発電所の寿命は30〜40年です。廃炉にする際も同様にコストもリソースもかかります。

次の項に繫がりますが「万が一」が起きるとコストはさらに膨らみます。

3. 事故の際の極めて高い危険性

東日本大震災のときのように、事故が起きると様々な方面へ影響が出ます。

a) 放射性物質の放出による周辺エリアへの影響

事故の影響で放射性物質が外部に放出される可能性があります。

空気汚染だけでなく、土壌や海洋が汚染されてしまう可能性があるため、人間だけでなく魚や動物、植物も被曝することになります。

ここまで来ると周辺エリアのみならず地球規模で汚染される可能性も見ていかなければいけないでしょう。

b) 早期修復が困難

事故が起きて放射性物質が放出されてしまうと、原発に近づくことができません。

よって、修復も長い期間は行うことができず、その間は放射性物質が垂れ流し_という状況になってしまうのです。

c) 津波の影響

蒸気の冷却には大量の水が必要なため、海水を使用しています。
つまり、原発は海の近くに建てる必要があるのです。

しかし地震大国の日本では地震から発生する津波の影響もリスクとして考えなければなりません。

まとめ|日本はどうすべき?

KEI ISHIKAWA

さて、ここまでメリットとデメリットの両方の側面から見てきました。

では日本はどうすべきなのでしょうか?

自然エネルギー以外の資源に乏しい日本では、電力の約30%を原子力発電に頼っているという現状があります。

さらに、わたしたちが日々の生活で使っている電力は「動電力」と呼ばれ、静電気のように貯めておくことができないのです。そのため、使用量を予測して発電所に指示を出して発電量をコントロールしているんですね。

そこで、出力調整の時間がかかり、リスクも高い原子力発電はベースとして出力を一定(30%)とし、その他の発電方式を使用量にあわせて変動させるという方法がとられています。

東日本大震災以降、原発反対!の声を多く聞くようになりました。
渋谷に勤務していた頃はデモもよく見かけました。

ですが、反対派の意見を見ても「危険だから撤廃!」の声しか聞きません。
現実を考えれば、日本はいますぐに原子力発電を止めることはできません

需要に応えるだけの代替策がないからです。

わたしがデモや反対派に対して感じる違和感は「じゃあ代替案は?」という点です。

火力発電に切り替えたとしても、今度は温暖化の問題にぶつかります。

水力や風力発電では供給量があまりにも不足しています。

企業の技術開発ではトライアンドエラーが基本で、失敗から改修を繰り返すことが求められますが、原発に関してはそんな悠長なことは言ってられないのも理解できます。

KEI ISHIKAWA

じゃあどうすればいいの?

まず第一に、電力を使う国民1人1人が、どうすべきなのか、原発とはなんなのか、をしっかりと理解すること、そしてその声を国会に届け、国会で議論すること、さらには、国ごとではなく世界規模で議論することだと思います。

原発ってよく分からないけど危険だからナシで_。

それがあなたの意見ならそれでもいいんです。
ただ、反対をするならば、現状に合った代替案も考えましょう。

代替案が見つからない限りは一方的に原発ゼロ_は非現実的と言えます。

だからと言ってわたしが原発に全面的に賛成しているわけではありません。
ただ、現状を鑑みて、原発に変わるエネルギーがない以上、そして日本の電力需要が変わらない以上、原発ゼロを無責任には唱えられないというのがわたしの意見です。

ただし、原発を(一時期的だろうが半永久的にだろうが)維持するとした場合にも、万が一の事故やテロ対策が万全なのかも議論を深めるべきと思っています。

国民の原発への意識、理解が高まることで、代替えエネルギーについての議論が深まることを期待しています。
電力を使う1人1人が、主体的に考えていく必要があると思います。

さて、あなたは原発の未来についてどう考えますか?

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原子力発電のメリットとデメリットを3つずつ挙げてみた