先日、わたしの住むカナダの首相トルドー氏がこんなツイートを
Canadians are tired of seeing our beaches, parks, streets, and shorelines littered with plastic waste. Learn more about the action we’re taking to ban harmful single-use plastics: https://t.co/GZBt0K10Nt #BeatPlasticPollution pic.twitter.com/eZ0yT8ckY5
— Justin Trudeau (@JustinTrudeau) 2019年6月10日
原文:Canadians are tired of seeing our beaches, parks, streets, and shorelines littered with plastic waste. Learn more about the action we’re taking to ban harmful single-use plastics:
意訳:カナダ人は、ビーチや公園、通りや海岸沿いがプラスチックゴミで散らかっているのを見るのにうんざりしている。動き出した有害な使い捨てプラスチックの禁止政策についての詳細はこちら。
カナダは早くて2021年までに、使い捨てのプラスチックを排除すると決めたそうです。
この法案ってすごくエシカル(倫理的)且つ、ラショナル(合理的)で、エモーショナル(感情的)にもロジカル(論理的)にも響くすごくいい法案だって感じました。
今回はこのカナダのケースを起点に、プラスチックリサイクル事情と、世界から見た日本事情をまとめてみました。
◆サクッと読むための目次
リサイクルすれば環境にも優しいんじゃないの?

実は、プラスチックにはリサイクルに優れたものとそうとは言えないものに大別されるのです。
まずはサクッとこの点について見ていきましょう。
日本では大きく3つのリサイクルが存在する
日本では、下記の3つのリサイクル方法に集約されます。
- マテリアルリサイクル
- ケミカルリサイクル
- サーマルリサイクル
マテリアルリサイクルとは
いわゆる私たちイメージする「リサイクル」に1番近い形です。
ペットボトルがそのまま→ペットボトルに生まれ変わる! 的な。
しかしこの方法では、リサイクルの度にプラスチックが劣化してしまうので、どんどん使い物にならなくなってしまうという難点があります。
そこで次世代と期待されていたのが②のケミカルリサイクルです。
ケミカルリサイクルとは
この方法では、一旦プラスチックを分子レベルまで分解してからプラスチック素材に変えていくので、何度でも再生ができます!


この工程には大規模な工場が必要なため、資金面・エネルギー面で難しく、普及に至っていないのです。
サーマルリサイクルとは
サーマルとは「熱の」という意味なので、想像できた方もいるかも??
いわゆる「ごみ発電」を指します。そう、プラごみを燃やして発電する_ということです。


まさにその通りで、海外では「エネルギー回収」または「熱回収」と呼ばれ、リサイクルの概念ではないのです。
「日本はプラスチックのリサイクル率84%」のカラクリ

この数字にもカラクリがあるのです。
上記で説明したように、日本では「サーマルリサイクル」を「リサイクル」の1つとして位置付けていて、これがプラスチックリサイクルの56%を占めているのです。
「サーマルリサイクル」を数字から外せば、日本のプラスチックリサイクル率は30%程度に過ぎない_というのが世界基準での数字なのです。
リサイクルできないプラスチックの行き場は?

燃やす・埋めるが王道パターンです。(日本の場合「燃やす」もリサイクルに入れてますけどね..)
以前までは中国にまるっと輸出していましたが、中国もさすがに限界を迎え、輸入禁止となりました。現在の主な輸出先はマレーシアだとか。
そして、埋めたものも含め、廃棄しきれなかったものが海に流れ出ることによって海洋資源への影響が取りざたされるようになったのです。
プラスチックが生物分解されるには相当の年月がかかる
ではここで、自然界に放出されたプラごみが生物分解されるまでの年月を見ていきましょう。
この表から見てもわかるように、プラスチックの生物分解には何百年とかかるものばかり。
識者の中には、「このまま何のアクションも起こさなければ、2050年の海では魚の数よりもプラごみの数の方が多くなっている」と発表している人もいるほどです。
リサイクルできないなら何ができるのか

世界の動きとしてリデュース (reduce) が進んできています。
スタバでも2018年7月の時点で、プラスチック製ストローの廃止が決まっていますよね。
マクドナルドでも、2025年までにプラスチック製ストローから紙製に順次切り替えると発表されています。
» スタバ、プラスチック製ストローを廃止 2020年までに – BBCニュース
プラスチックを生み出したのは我々人間ですから、自然界に環境問題を生んでしまったのも我々。
リサイクル(またはリユース)ができないなら、プラスチックそのものをリデュース=削減しましょう_ということです。
EUでも2018年10月に可決していた
冒頭で、カナダの政府方針を紹介しましたが、これは2018年末に可決していた欧州議会に倣ってのことでした。
目的としては、「海洋生物保護のため」🐋🐬
例えば、クジラがプラ袋を飲み込んでしまうと、食べ物を消化・吸収できなくなり死に至るんだとか🐳
欧州では、『ブルー・プラネット』などのドキュメンタリーが人気で、それの後押しもあって規制への支持が高まっていたとのこと。
日本のプラスチックリサイクルに対する意識の低さ
では、日本での動きはどうなんでしょうか?見ていきましょう。
日本でも、海洋プラスチック対策推進を掲げ、化学業界5団体が2018年に「海洋プラスチック問題対応協議会」を発足しています。
しかしそのトップに就いた淡輪敏氏の発言がこちら。

出展:Copyright © The Asahi Shimbun Company.
先述のとおり、日本でのプラスチックリサイクルの7割近くは「燃やすこと」であり、世界基準での「リサイクル」の実態は30%に過ぎないのです。
それにも関わらず、協議会のトップがこの程度の認識であれば、世界から相当な遅れを取ることは間違いないでしょう。。。
日本の過剰包装文化
こんな感じの包装、日本に住んでいたときは当たり前でしたが、カナダではありえないです。
レモンならレモンで山のように積んであるので、そこから選べばいいんです🍋
最近の日本では「人が触ったものなんて無理」なんていう人が増えているからなんでしょうか。。
むしろこういった過剰包装こそがそういった菌弱な人を生んでしまっているのではとすら思います😓(吊り革握れないとか何事..)
今日からできるLess-plasticなエシカルな生活


エコバックを持ち歩こう!
簡単なことだと、レジ袋を持参すること!
わたしの住むカナダでは、レジ袋は課金 (5㌣/枚) される仕組みなので、節約のためにもエコバックを持参する習慣がついています👌🏻
マイタンブラーを使おう!
わたしがマイタンブラーを使い始めた理由は「保温」が入り口だったのですが、「エコ」という側面も持ち合わせているので、カナダに来てから気づけば4年のお付き合いです。
カナダにいると満員電車に乗ることもほとんどないので、オフィスに通っていた頃は毎朝タンブラー片手に通勤してました。スタバなんかだとタンブラー持ち込みで安くもしてくれるしお得でもあります😽
ミツロウラップを使おう!
サランラップを使うシーンは、こちらに変更しましょう!
なんども繰り返し洗って使えるラップなので、とってもサステナブルでエコフレンドリーでおすすめです🤙🏻
残り物にちょっとラップをかけたり、半分しか使っていない野菜やフルーツをラップで包んだり。そんなシーンをすべてまるっと置き換えられます♻️
布ナプキンを使おう!
女性にとっては毎月の戦いである生理。
赤ちゃんのおむつと同じで、ナプキンにもプラスチックが多く使われているんです。毎月5日間、そして数時間ごとに定期的に取り替えると相当な量を廃棄していることがわかりますよね。。
新品の正規品を選べば簡単に衛生を買えるので楽なのですが、今回の記事をまとめて、これじゃいかんと思い、布ナプキンの選択肢が上がりました。
エコフレンドリーな包装を選ぼう!
シャンプーなど日用品の容器は、詰め替え用を買っても、まだまだプラスチックが主流です。
企業の中には分解して自然に戻せるような成分で容器を作っているところもあります。(まだまだ数が少ないので選ぶのが大変なのですが..)
そういった企業を選ぶ_というのも1つの手段です。

まとめ|カナダ「自治体から企業への責任の移行」
カナダのトルドー首相は「自治体から企業への責任の移行が、プラスチックのリサイクルをより可能にする」と発言しました。
これ、とても理にかなっていると思いませんか?
プロデュース側には規制をかけずに、自治体任せにしていても手段が限られてしまっている中では身動きが取れないのが実情です。
市によっては事細かにゴミ分別の指示があるにも関わらず、蓋を開けてみれば..と。
既得権益を取っ払い、真の解決策を導き出している姿勢がすごくいいなと率直に思いました。
当たり前のことに感心してしまうのは、日本にはこれができないからですね。野党の中に「アンチ日本」がいること、本当に呆れます。(誤解を恐れずに言いますが、その政党・政治家を選ぶ人がいるということにもです。)
さらに、日本は世界の流れから遅れを取りがちなのも今後は大きな問題になってくると思います。
捕鯨の問題しかり、働き方改革しかり、ボーダレスな世界になってもきちんと国としての威厳を保ち、世界の規範となれる存在でいるためには、変化に対応するスピード感と既成概念や既得権益を取っ払った抜本的なアクションが必要なのではないでしょうか。
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それでは今回はこの辺で!
KEI(@kishikawa1126)でした。

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